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  1. 弐代目・青い日記帳 

    2011-05-02 (Mon) 10:39

    埼玉県立近代美術館で開催中の 「アール・ブリュット・ジャポネ展」に行って来ました。 展覧会公式サイト http://www.art-brut.jp/ 通常の美術教育を受けていないばかりか、同じ年齢の子とは違う学校や施設で暮らすことを余儀なくされている何らかの障害を抱え...

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アール・ブリュット・ジャポネ展/埼玉県立近代美術館

今日は、埼玉県立近代美術館で開催されている、アール・ブリュット・ジャポネ展に行ってきました。

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今回一同に集めてパリで展覧会をしたものの凱旋展覧会ということで、ほぼ全員がアール・ブリュットの作家を集めた展覧会です。アール・ブリュットとは何かを考えさせられる展覧会になっています。

公式HPは→こちらから

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アール・ブリュット《生の芸術》とはものすごく解釈の幅があって、人それぞれ範囲が違ってくるのですが、元々はフランスの画家、デュビュッフェが作り出したことばです。
今まで美術教育を受けてきていない人の自己表現して作り上げたかたちのことを言います。しばし知的障害者が創作したアートだと思われがちですが、美術教育を受けていない人がひっそりと自分だけで何か創作品を残している場合も当てはまります。

この展覧会を観て、デザインに携わる立場からすると、アール・ブリュットの作品は、作り方も作品としての概念もとにかく真逆なので、観るもの全て新鮮でした。トークの際保坂さんも言っていましたが、彼らは奇をてらった作風にしたくて描いたものではなく、感情のまま手の動くまま作ったものであり、彼らにとってみれば、普段通りのことなんですよね。その素であれだけの表現ができることに羨ましいと思いましたし、むしろ悔しいと思ってしまったくらいです。

ただ、アールブリュットの作品をどういう視点で捉えるかは、これからもっと議論されていくべきことでしょうね。アートが好きな方のなかには、画材も表現方法も稚拙だから好みではないと言う意見もあります。確かに、完成度や画材が持つ力は低いと思います。ここで気になるのが、このアールブリュットを純粋なアートと括っていいのかという疑問が湧いてくるのです。そもそも彼らは人に披露したくて造っているのかというと否だと思いますし、見られたくない、人に絶対知られたくないという方もいるのです。その表現をアーティストが作った作品と同じスタンスで評価し、鑑賞することがいいのかといわれると、非常に難しいところはあるなと感じました。


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今回は本当にたくさんの作家さんが参加されていたので、その中から特に気になった作家さんの感想を書きます。


舛次 崇

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《ペンチとドライバーとノコギリとパンチ》 2006年 ワトソン紙・パステル

舛次さんの作品は、フォルムが大胆で、デザインされているように感じるのです。とても構図にこだわられている様な気がするのです。日用品や動物図鑑に載っているものがモチーフとなっているようですが、彼のオリジナルのフォルムに変わっていて、そのかたちにセンスを感じるんです。さらに、黒と青の色彩感覚がクールで格好いいんですね。決して暗い色にみえないのです。背景も、彼なりに微妙な色を入れていて、決して無駄な余白に感じない。彼はかたちにとても感心が高いのでしょうね。




佐々木 早苗

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《無題》 2007-08年 布に刺繍 

佐々木さんの作品の魅力は、全体的に鮮やかな色を不自然なかたちではなく構成しているということと、刺し子の緻密さです。相当な技術の持ち主だと思うのです。とても私は真似できません。こんなにきれいに色を構成されている力があるのは、正直うらやましいです。刺繍の仕方も一様ではなく、いろいろと工夫されていたところもすごく感心してしまいました。四角のフォルムを並べた造形で、今回はその四角を描いたドローイングも展示されていました。




 万里絵

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彼女の作品がこの展覧会で一番画力とセンスを感じました。圧倒的な表現力、彼女は突出していたと思います。さんは、人の生殖器に嫌悪感を抱いており、その葛藤を表現しています。かなりの具象や、時折抽象の要素も織り交ぜながら力強い表現を構成しています。ペンで描かれているのですが、もっと説得力ある画材を使っている様にも見えます。さらにぞっとさせるようなテーマと独創性のある表現がパワーを感じました。




萩野 トヨ

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萩野さんの作品は使う布の色や刺繍の色が決まっており、独特の静かな青い世界を造っています。萩野さんは50歳のときに刺繍を始めたそうで、つくるときは下絵は一切なく縫い始めてしまうそうです。まさに感覚だけの造形なんですね。でも、色のまとまりといい、かたちがとてもデザイン性を感じる構成なので、普通は試行錯誤しないと作り上げられない作品だと思うのですが、彼女の感覚の鋭さには感服してしまいました。




木本 博俊

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《無題》 1995~2000年 紙・水性インク・色鉛筆 

木本さんの描くイラストは、完成度が高いなと感じました。細かいけれど、全然迷いがなく、無駄のない線で描かれています。色も配色がしっかりと練られている様に感じ、明るく鮮やかな楽しい絵だなと思いました。普通にイラストレーターが描いた作品としても十分成立する画力をお持ちだなと思います。


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キュレーターズトークも聞いてきました。

《パネリスト》
・小勝禮子(栃木県立美術館学芸課長)
・服部 正(兵庫県立美術館学芸員)
・保坂健二朗(東京国立近代美術館研究員)
・建畠 晢(埼玉県立近代美術館館長)


アール・ブリュットを長年研究されている服部さんと、パリの展覧会に携わった保坂さん、日本でアールブリュット展示に関わられている小勝さんと館長の建畠さん4人のトークでした。
それぞれの発表のあと、クロストークもあったのですが、キュレーターとしてアールブリュットをどう解釈するのか4者それぞれ違っていたのが面白かったです。それだけ範疇が広い分野であり、定義が曖昧なので、考え方の違いを聞けたのは良かったです。

保坂さんのご意見で興味深かったのは、作品を取捨選択して所蔵するのではなく、アールブリュットは作家の作品を一括で集めてアーカイブとして所蔵する傾向にあると言っていました。確かにそもそもの作品価値が違うので、そのような傾向になるのも分かります。
あと、美学の観点から研究したいとも。感性の学問から研究するとどうなるかと。アートということばでくくりすぎたくないと言っていました。
なぜ人は物を作るのだろうということを理解していきたいと言っていました。

服部さんは、アールブリュット研究されて20年くらいだそうで、研究し始めた頃は日本での認知は低かったけれど、今はむしろ世界の中でも認知度が高いくらいに変わったと。福祉施設でもアートと認識してもらえる機会が増えた分、こぼれ落ちる可能性が減ってきたとのことでした。ただ、アート業界と本人は一切関係ないのに、流通する際は普通のアートマーケットのルートと同じであるということに言及されており、海外のマーケットでは、作者本人がどのような生活を送っているのかということに一切関心を持たなくても成立していると言っていました。作者の背景というよりも、作品そのものの質を問われているとのこと。
それと、海外の障害者アートセラピー施設では、才能がない者にはいつまでも絵を描かせないという考え方も多いそうです。日本はそのような概念がないので、海外の土壌は少々違いがあると。ただ、アール・ブリュットの作品を見出す日本ならではの独自性はまだこれからかもしれないと言っていました。

小勝さんは、1993年に世田谷美術館で開催された「パラレル・ヴィジョン─20世紀芸術とアウトサイダー・アート」展を機会に、アール・ブリュットの作者を取り上げる展覧会を企画されてきました。今現在、栃木県立美術館で開催されている「関谷富貴」展にも関わられています。今回は、去年開催された「イノセンス」展について、詳しい内容を紹介してくださいました。その展示では、アール・ブリュットの特長を見出しそれをテーマに区切って紹介されたとのことでした。

1.きれいな色・透明な色・激しい色
2.増殖するかたち
3.身のまわりの世界
4.物語をつむぐ
5.痛み・怒り・恐怖・記憶


さらに、今後はアール・ブリュットの作家をどう見出していくか、どういった切り口で展示するかにも言及していて、学芸員が一人でも熱意があればその作家を取り上げた展覧会を開催するし、モダンアートやコンテンポラリーと絡めて紹介する例も多いと。そういった複数の視点を持って今後も紹介していきたいと言っていました。



今回の講演でお話しくださった服部さんと小勝さんの関連情報です。


関谷富貴の世界
2011年4月23日(土)~6月19日(日) 栃木県立美術館
http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/jp/exhibition/t110423/index.html


学芸員アートトーク「ヨーロッパ、アウトサイダー・アート最新事情」
2011年6月19日(日) 兵庫県立美術館 15:00~16:30
http://www.artm.pref.hyogo.jp/


チェコ、アール・ブリュットの巨匠「解剖と変容:プルニー&セマーンコヴァー」
2012年2月4日(土)~3月25日(日) 兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/


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さほど混雑してはいないので、ゆっくりと観られますが、たくさんの作品と強烈なインパクトのあるものばかりです。作品そのもののパワーがあるので鑑賞の際疲れないように調整されることをおすすめします。

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埼玉県立近代美術館/アール・ブリュット・ジャポネ展
開催期間:2011年4月9日(土)~2011年5月15日(日)  休館日月曜日
開館時間:10:00~17:30  (入場は閉館の30分前まで)
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  1. 弐代目・青い日記帳 

    2011-05-02 (Mon) 10:39

    埼玉県立近代美術館で開催中の 「アール・ブリュット・ジャポネ展」に行って来ました。 展覧会公式サイト http://www.art-brut.jp/ 通常の美術教育を受けていないばかりか、同じ年齢の子とは違う学校や施設で暮らすことを余儀なくされている何らかの障害を抱え...

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