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モホイ=ナジ/イン・モーション/DIC川村記念美術館

DIC川村記念美術館で開催中の モホイ=ナジ/イン・モーションへ行ってきました。

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この展覧会は、ハンガリーのアーティスト モホイ=ナジ・ラースローの軌跡の全容を追った回顧展となっています。
京都国立近代美術館、神奈川県立近代美術館葉山館と2箇所も巡回してきた展覧会で、川村で最後の巡回となります。

公式HPは→こちら

モホイ=ナジ・ラースローのことは、大学で「バウハウスに貢献した人で、写真家であり、デザインに関わっている人」というように教えられた(デザイン科でしたから)のですが、
今回の展覧会では彼の「芸術家」としての作品の全容を観ることができ、改めてアーティストだということを教えてもらえる機会になったなと感じました。

絵画あり、写真あり、タイポあり、映像あり、舞台美術あり。
何でも屋さんですよね、本当に。その制作意欲に関心してしまいます。
ただのバウハウスの先生と言い切れないですよね…。
大学の講義で教えてもらったことはほんの一部だったということをしみじみと感じてしまうくらい、
その当時表現として使えるマチエール、メディアのすべてを巧みに使った作品がずらっと並んでいました。


111202k.jpg
《 死にゆく兵士 》1917年 クレヨン、紙 ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション

彼のハンガリー時代の作品を知るいい機会がこの作品や油彩の作品たち。
自画像や素描はもう「構成主義」の片鱗を見て取れますよね。円弧をつかったようなこのデッサン。とても力強く、かたちをしつこいくらいに追い表現しているように感じます。
フォルムに異常なまで関心を持っていたのかなと思うくらいの力強さ。
私が受験用にあのような人物デッサンを描いたら、先生に怒られただろうなと思うような独創性を感じます。この独創性がうらやましいです。



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《 風景(オーブダの造船場の橋 》1918-19年 油彩、ビーバー・ボード
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


油彩もキュビズムを感じさせる絵ですね。とてもシンプルなハンガリーの風景画。でもこれまた力強い線が生き生きとしており、印象深い作品です。
アクションを感じるような訳ではなく、静の印象も持っていますが、目に訴えるくらいの強さがあります。



そして、今ままで知っていたこれぞモホイ=ナジだと思う作品がこちらから。

111202c.jpg
《どのようにして私は若く美しいままでいられるか?》 1920年代 フォトプラスティック、ゼラチン・シルバー・プリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


彼の功績といえば写真ですよね。私はずっと光と闇を追う写真の作家だという印象を持っていました。フォトグラムとか、このようなフォトプラスティック作品を見ていると今までにない新たな造形物を模索していたんだなということがよくわかります。
時代はかぶるので、一見シュールレアリスムにも感じますが、非現実的、幻想的な世界が写し出されていますよね。
モホイ=ナジは「構成すること」にとても関心を持っていたんだなと思いました。
奥行きが感じないのです。当然ですが。
三次元のものを二次元で表現する、捉え方や表現の仕方が平面的なんですよね。
「光と運動による造形」という概念を求めて、空間感を表現するのに「重ねる」という方法論をとっていたんだなと思います。




111202l.jpg
《 無題(ベルリンのラジオ塔から) 》1928/1973年 ゼラチンシルバープリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


この写真も俯瞰から撮っていて、構図を一番大事にしているのと同時に、もののフォルムの面白さや「構成」に注力を注いでいます。
俯瞰でものを捉えることで、ある種平面的に感じます。
写真を撮るときに、動きやスピード感を含めたりするよりも、「静」の印象があるのです。




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『MA 音楽と演劇特集号』第9巻8-9号(1924年9月
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


こういう作品を観ると、「これこそモホイ=ナジだ」と思います。前述の通りで(笑)
彼の功績の中でも有名なのが、タイポグラフィですよね。
バウハウス時代にタイポグラフィについて教鞭を取っていただけあって、とても構成がきれいです。当時定番になりつつあったサンセリフ体をふんだんに使用して、力強い構成にしていますよね。グリッドで区切ったきっちりとして妙なアキを感じさせないまさにタイポのお手本といったようなデザインです。



111202f.jpg
《ライト・スペース・モデュレータ(電気舞台のための光の小道具)》[レプリカ]
1922-30/2006年 金属、プラスチック、ガラス、絵具、電気モーター
ハーバード大学附属ブッシュ=ライジンガー美術館


この作品は、今回の展覧会で動くというのが評判だったのですが、残念ながら故障しており、実際動いて観ることができませんでした。。。
これを観に行くのが一つの目標だったので、ちょっとがっかりでした。
隣に、かつてモホイ=ナジが撮った映像作品が映っていましたが、これまでに見たフォトグラムなどの作品と通じるところがありますよね。
光と動き、そして空間を感じさせます。
設計図も同時に展示されており、とても貴重な資料を観られたのも良かったですね。




111202h.jpg
《A 19》 1927年 油彩・カンヴァス
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


この作品は、私のようなデザイン科の大学を出ている者としてはとても共感してしまう作品です。大学受験でこのような「平面構成」たくさん制作しましたから。この色合いと構図の作り方は本当にすばらしい。円を透明感あるように重ねているんですよね。そこが、今まで観てきた作品たちと通じるところがあるなと感じました。



映像作品も展示されており、私は「ロブスターの一生」と、「建築家会議」を観ました。どちらも途中までです、恐縮です…。
ただ、ドキュメンタリーを撮っていたのも驚きです。記録というよりは、しっかりとした映画になっている。そのストーリー性も含めて映像作品は貴重な存在だなと思いました。



111202i.jpg
《 無題(ネオンサイン) 》 1939年 35mmコダクロームフィルム
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


アメリカに渡ってからのナジの作品として、カラースナップ写真が展示されていたのが興味深かったです。このネオンの残像を撮っているものや、花火と思われる光の写真などが構成主義をしっかりと感じさせるような作品で面白かったです。
モノクロの作品よりも、動きを感じる撮り方をしていますよね。

あと、「蝶々夫人」の舞台セットのデザインまで手がけており、日本家屋のようなセットを作っていたのですね。


これだけたくさんのモホイ=ナジの一面を観ることができるなんてとても感慨深い展覧会でした。
常に新たな素材を追いかけ、フォルムや光、動きを求めていた姿を知ることができて良かったです。デザインの分野だと原点回帰のような作品ですが、決して古くささを感じない。
改めて拝見して、その好奇心や制作意欲をこちらもたくさん吸収できた良い機会でした。



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平日の金曜日に行ったので、ほとんど独占状態で観られました。

今週末、千葉市美術館と往復するシャトルバスが運行されるそうですので、
「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展と合わせて観るのもいいですね。
■千葉市美術館発 13:00 / 15:00
■DIC川村記念美術館発 14:00 / 16:00
【所要時間:約40~50分】



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会期:9月17日(土)―12月11日(日)
開館時間:午前9時30分-午後5時
     (入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日 (ただし9/19と10/10は開館)10/11(火)

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