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フェルメールからのラブレター展/Bunkamura ザ・ミュージアム

リニューアルしたばかりのBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている
フェルメールからのラブレター展
へ行ってきました。

120113a.jpg


公式HPは→こちら


この展覧会は、「手紙」をテーマにするというちょっと今までと趣向が違います。
17世紀のオランダで当時のコミュニケーション手段として大変流行った手紙に焦点をあてています。よく見ると、絵画の中に手紙が入っているものもちらほら。

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エドワールト・コリエル 【レター・ラック】

この作品に描かれているものがまさにその当時のオランダの手紙を書くための道具だそうです。
封蝋や、羽ペン、オープナーなど、今見たらビンテージ雑貨やさんにありそうなちょっとノスタルジックな気持ちになりますね。
何とも言えないこのロマンチックなコミュニケーション手段。他国に比べて識字率が高かったことや、郵便技術が発達していたというオランダの豊かさゆえの要因で手紙は発達したそうですが、頻繁にやり取りしていたとしても、今のメールよりも一言一言に重みがあるような気がしますよね。

他にもそのオランダがいかに豊かだったのかを市民を普通の風景を描いた作品から読み取れることができる展覧会です。
まず画面全体的に暗すぎない。市民の表情がいい。生活を楽しんでいることがよく分かりました。

さらにさらに、今回はあのフェルメールの作品が一度に3点も展示され、
中でもアムステルダム国立美術館所蔵の【手紙を読む青衣の女】が、日本初公開だそうです。
しかもラピスラズリの青を修復して鮮やかになったものがオランダよりも先に初公開となるという何とも話題騒然の内容なんですよね。

今から10年前にオランダ アムステルダム国立美術館へ行き、現地で【手紙を読む青衣の女】観たときは随分地味なといっては失礼な言い方ですが、大人しい印象の絵だった記憶があります。さらに【牛乳を注ぐ女】や、レンブラントの【夜警】といった他のそうそうたる名画を観た直後だと、印象薄まりますよ。
サイズも小さめですし、青のラピスラズリが薄くなって灰色のような記憶があったのでそのように思ったのでしょうかね。
でも今回久々の再会でしたが、元々はこんなに青がきれいだったなんて、本当に感動しました。
貴重な作品を日本で観られたこともうれしかったですね。


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では気になった作品の感想です。


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ヘラルト・テル・ボルフ 【音楽の仲間】 油彩・板

この画家は、フェルメールに影響を与えたと言われていますが、確かに色の雰囲気や光の書き方が他の作家よりも自然でやわらかいですよね。
ピアノの鍵盤には「Musica Donum Dei」と書かれており、音楽は神からの贈り物という意味だそうです。
オランダのこの頃の絵画はよく神への信仰心や道徳をテーマにしたり、直接文字として表したりしますよね。豊かだった市民は絵画を発注というかたちではなく、既製のものを買って部屋に飾ったのだとか。今回の作品にも壁に絵がかかっている風景が随分ありましたね。





コルネリス・ベーハ 【酒場の情景】 油彩・板

この作品は面白かった! あまりにもスナップ写真のようで。こんなおやじ、酒場にいそうだなー。と笑えるなんでもない普通の日常なのです。表情がおかしい。笑えます。
このベーハはこの後に出てくるオランダ風俗画の代表的画家 ヤン・ステーンに影響を与えた画家だと言われているそうですね。
分かる気がします。こんなに取り繕っていない自然体のテーマを観られるのもオランダ絵画ならではだなと思いました。




ヤン・ステーン 【老人が歌えば若者は笛を吹く】 油彩・キャンヴァス

この作品も楽しそうな風景ですよね。みなさんわっはっはと笑ってる。そして真ん中にいるお母さんは胸出しちゃってますしね。
「謳歌」ということばがぴったりくるような情景。家族なのでしょうか、ご近所さんなのでしょうか。音楽を奏でててみんなで歌うというのは平和で豊かな情景ですね。
この作品の人々に当たっている光、結構まぶしいですよね。窓からぴかーっと採光が。人々を照らすスポットライトのような効果をもたらしていますが、ちょっと舞台のようなドラマチックさを感じますよね。普通の日常なのに、ちょっと光が強過ぎるような気もします。
もちろん、この作品に文句言うつもりはないのですが、後に出てくるフェルメールとちょっと比較してしまうんですよね。。




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ピーテル・デ・ホーホ 【中庭にいる女と子供】

デ・ホーホは他の画家と比べてもかなり遠近感、パースを大事にする画家なのかなと思いました。この作品は親子かと思いきや、召使いなんですね。二人を真ん中に置いて奥にもあずまやで何かを楽しむ人々が象徴的に描かれています。
四方を囲む壁。パンを持った召使いの姿は、主の祈りを表しているそうです。
解説を読むととても含みを持たせた設定により作り上げられた風景であって、ただの日常ではないそうなんですよね。
何気ない風景と思いきや、ちゃんと道徳の含みを持たせたこのような作品はオランダの人の真面目さを感じさせるなと思いました。
神の姿ではなくても、主の祈りの要素を含ませた景色が設定できるのは面白いなと思いました。





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フランス・ファン・ミーリス(1世)とヤン・ファン・ミーリス 【手紙を読む女とトリック・トラック遊びをする男たち】 油彩・キャンヴァス

今回の展覧会、どうしてもフェルメールの作品と比較してしまうので、良くないなぁと思うのですが、一番比較してしまった作品の一つ。
とても細かい細密描写なのです。細密過ぎてしまって、ちょっと非現実的です。
人の目は三次元にものをとらえるとき、影や光を主に認識しているそうですが、この絵だとまるで1000万画素以上のデジカメで撮った写真のよう。あまり焦点を鮮鋭にあてすぎると、空間感覚や立体感がうそっぽくなってしまうんですよね。
とはいえこの描写はあっぱれです。布の質感もしっかり描き分けていますよね。
よく見ると、手紙を読んでいる女性も。
でも横に男性二人もいるので、女性が何をしているのか見落としてしまいがち。





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ヤン・リーフェンス 【机に向かう簿記係】 油彩・板

この画家は、レンブラントのライバルだったと言われているそうですが、確かにレンブラントライトを意識しているかのような作品ですね。
美しくもない簿記係をここまで光いっぱいあてて描いている作品もこれだけのような気がします。神々しい印象を持つ簿記係は他の作品よりもインパクトがあって心に残りました。






ハブリエル・メツー 【窓辺で本を読む女】 油彩・キャンヴァス

フェルメールの作品の次にすばらしくて、一目惚れしてしまった作品がこの作品。
何で一目惚れしてしまったのでしょうね。彼女の着ている服の赤の印象や、真剣に読書をしているまなざしが純粋にいいなと感じてしまったのです。
描きすぎてもいないし、難しい意味が込められていないような場面も観ていてゆったりと鑑賞できるなと感じたのかもしれません。
でも、今まで観てきた細密描写画とはちょっと違った描き方だったので、印象に残ったのかもしれません。



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さて、ここからは今回の展覧会の目玉フェルメールの作品の感想を。

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ヨハネス・フェルメール 【手紙を書く女】 油彩・キャンヴァス

この作品、私は初めて拝見したのですが、衣装の黄色がまぶしいですね。
ちょっと離れて観ると、暗めの背景からキラキラと浮かび上がって見える黄色い服の女性。光がとても美しいですよね。
リボンや真珠などの細部の光が本当に美しい。その光が分散しているところを描いていたのが印象的だなと思いました。光が自然にまわっているようで、かなり計算されて描かれている。 ポイントポイントでキラッとさせていて。
黄色は幸せのイメージを持っているような感じがしますが、正面を向いている彼女はかわいらしい印象なのですが何か言いたげで、しかも自信に満ちた凛としたイメージを想起させますよね。
意思の強さみたいなものも感じさせます。
この書いている手紙はどんな内容なのでしょうね。





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ヨハネス・フェルメール 【手紙を読む青衣の女】 油彩・キャンヴァス

一方こちらは故意に光を描いてるように感じないのに、窓から差し込む光をしっかりと感じ取ることができますよね。その光の描き方がとても上手だなと思わずうなりました。アムステルダムで観たときはそこまで他と比較していなかったのですが、光の描き方がよそよそしくない。ごくごく自然に窓からの採光を感じ取ることができますよね。
そして手紙を夢中になって見つめる彼女の姿が、同じ女としては感情移入してしまいます。誰からの手紙なのでしょう。遠くにいて待っている人なのでしょうか。場面設定もとてもロマンチックですよね。この演出がにくいなと感じてしまいました。
この作品の特長である、ラピスラズリの青は前述の通りきれいでした。【真珠の耳飾りの少女】も印象的な青いターバンを巻いており、フェルメールの色といえばで思い出すのは私の中では青なんです。ここまできれいだったかと感嘆してしまいました。アムステルダムで観た時と別物に見えますね。






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ヨハネス・フェルメール 【手紙を書く女と召使い】 油彩・キャンヴァス

こちらは【手紙を読む青衣の女】から10年ほど経ってから描かれたものだそうですが、他2点と比べてちょっと違った描き方をしているように感じますね。
場面設定も、構図もまさにフェルメールなのですが、光の描き方が結構違うなと思いました。フェルメールを数点見比べることができるなんて、海外の美術館でだってそうはできないですもんね。
なんと贅沢な空間なのかなと思います。




手紙は人と人とをつなぐツールとしてとてもいいものだなと思います。
メールやつぶやきでしょっちゅう連絡取れるのもいいことなのですが、つながっていたい人と思いを込めた手紙のやり取りをするのもいいなと思いますね。
たまにしか来ない返事を待つその時間、距離感をわくわくしたり、どきどきしたりしながら味わったり。

白ヤギさんからお手紙着いた。黒ヤギさんたら読まずに食べた。。



この展覧会はどうしてもフェルメールと他の作家と作品を比べてしまいますね。
3点も来ているのでそうなってしまうのかもしれませんし、またそのような見方をしてもいいのかなと思いますけれど、やっぱりフェルメールはすごいですね。
あらためて彼の素晴らしさを実感できる展覧会だなと思いました。


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金曜日の夜間開館へ駆け込んだので、さほど混雑していませんでした。
フェルメール3点展示されている部屋もゆっくり観ることができましたよ。


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フェルメールからのラブレター展
コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ

会期:2011年12月23日(金・祝)~2012年3月14日(水)
開館時間:午前10時~午後7時(入場は各閉館の30分前まで)
     ※毎週金・土曜日は午後9時まで(12月30日、31日を除く)

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