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ストリート・ライフ ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち/東京都写真美術館

東京都写真美術館で開催中の ストリート・ライフヨーロッパを見つめた7人の写真家たちへ行ってきました。

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この写真展は、かつて2004年に行われた「明日を夢見て~アメリカ社会を動かしたソーシャル・ドキュメンタリー」展の源流は実はヨーロッパにあるのではないか。という検証から決まった展覧会だそうで、1860年代1930年代までの人々の生活を撮ったソーシャルドキュメント写真が展示されています。 
ジョン・トムソン、トーマス・アナン、ビル・ブラント、ブラッサイ、ウジェーヌ・アジェ、アウグスト・ザンダー、ハインリッヒ・ツィレのフランスやドイツ、イギリスの写真家7人の作品が展示されており、今回写真美術館新所蔵作品のものもあるので、貴重な機会でした。

公式HPは→こちら

この展覧会、まず1860年代のイギリスの風景の鮮鋭な写真を観る機会などなかなかないと思うのですが、当時の面影そのままのまるで実際タイムスリップして覗いているようなリアルさを体感できることがうれしかったですし、写真の撮り方、プリントの仕方が7人様々でそのこだわりや視点の違いを楽しむことができたことが良かったですね。



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展覧会ではこの順番で作家を紹介していました。


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ジョン・トムソン ロンドンの流浪者 1877-78年

この作品は、ロンドンの一般市民、貧困層も含めたたくさんの人々の、問題が起きている日常を「社会改良」としてドキュメント写真として残したものです。
でも、よく見ると、みんな正面向いているんですよね。不自然なくらい。この写真たち、実はごくごく自然な写真の撮り方をしているのではなく、ある程度撮る前に市民にポーズなどを指示して撮ったものだそうです。
よく見ると、子供がブレているのが象徴的ですが、当時は感度もシャッタースピードも今のように性能がいいわけではないので、じっとしていてくれないとなかなか撮れなかったのも一理あるのかなと思いましたが、若干わざとらしいんですよね。
まるで絵画の構図のようで、ちょっと笑っちゃうようながちがちのおばさんとかもいて。
この写真は、凹版の鉛のプレートを使用した「ウッドベリータイプ」という技法を用いているのだそう。アミかけの印刷技法と違うので、すごくシャープに線が出るんですよね。
130年前の写真だと思えないくらいの鮮鋭さ。きれいなんです。色も独特の深い茶色を出しており、雰囲気もいい。
ちょっとポーズがぎこちなければ、もっと良かったのに 笑
仕方ないんですけどね。。





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トーマス・アナン 袋小路 118番、ハイ・ストリート 1868年

今回の展覧会で最もいいなと思った作家です。
初めて彼の作品を拝見しました。
映っている風景は、グラスゴーの路地。都市の整備で取り壊す直前に撮られた記録写真だそうです。先ほどのジョン・トムソンの写真と違い、こちらはとてもリアルに路地の風景をそのまま写しているのが分かります。さすが記録だけあって、とても丁寧に風景を写し取ろうとしていますね。
この取り壊す前のいわゆるスラム街のような路地裏。このような古い町が140年前にあちこちにあったんだろうなと思うと、ノスタルジックな気持ちになりましたし、洗濯物すら汚いその情景が切なさを助長していて、映画の再現でしか観たことなかったヨーロッパの昔の闇の部分を体感できたような気がしました。この風景は本当に貴重ですね。
ここにはたくさんの人が写っているのですが、お世辞でも幸せそうとは言えないような様子。でも、狭い部屋の中にひしめき合って生きているたくましさを感じました。
この写真は、「フォトグラビア印刷」技法を用いているそうです。こんな昔からグラビア印刷あったんだと思ってしまった自分が恥ずかしかったですが、現在でもグラビア印刷は良く雑誌等の印刷で用いますよね。凹版なので独特なにじみも出ますが、写真を撮った時にすでにブレていたのか結構人物はにじみのようなブレが多くてそれが逆に独特な風合いがあって雰囲気が良かったですね。





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ビル・ブラント 若い主婦、ベスナル・グリーン 1934年

彼は写真と言えばの「ゼラチン・シルバー・プリント」を用いているのですが、暗室作業をとても工夫された写真家なのだなということがよくわかりますね。
とてもコントラストがきつく、その効果が印象的なのです。森山大道の「アレ・ブレ・ボケ」もこの写真の影響あったのかなと思うような作風です。彼はマン・レイの助手を務めたこともある写真家。「ハリファックス市の急坂」などのハリファックスの風景写真や、「石炭くずを拾ってジャロー氏の家に戻る人」などの象徴的な構図の撮り方をしている写真まで、とても絵画的といいますか、者かが理性を感じる場面設定なんですよね。
とても深い黒によってイメージされる町の不安感とか、無機質さを出しつつ、ロマンチックな印象も持たせているのが独創的でいいなと感じました。






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ブラッサイ ベイ・ブイエの群衆、モンパルナス 1932年

彼はパリの夜の生き生きとした風景を写しとった作家としてとても有名ですが、今回展示されている作品も都市の闇と光をとてもおしゃれに撮っている作品ばかりでした。
もううらやましいと思うくらいおしゃれ。シャンソンでも唄いたくなるような(唄えませんが)パリの情景が本当ににくいですね。
特にいいなと感じたのが、「霧に包まれたオプセルヴァトワール通り」と、「ポン・デザールの下から眺めるポンヌフ」など。闇の中に眩しく印象的に光る明るくてあたたかな光の演出がとても美しかったです。それこそ映画のワンシーンみたいでした。






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ウジェーヌ・アジェ キャバレー「金の十字架」、サン・タンドレ・デ・ザール通り54番地 1900年

アジェはパリの風景や人々を撮った写真が有名ですが、(東京国立近代美術館でよく観ますよね)今回、室内の装飾だけを撮った写真がたくさん展示されていました。
調べると、アジェは気の向くまま写真を撮ったのではなく、購入者によってテーマを決めて撮っていたそうで、おそらくこの写真達もシリーズとして屋内の装飾を撮ったのでしょうね。
もうこうなると記録写真ですよね。
誰もいない室内の装飾はさすがパリ。当時のアールヌーボーの影響色濃い美しい室内デザインですよね。ただ手すりを撮っているだけなのに、それだけで絵になる。
しかも「鶏卵紙」を使用しているので独特のセピア色が出ており、またその雰囲気もとてもいい。ノスタルジックな印象と美しさが混ざりあった写真ですね。






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ハインリッヒ・ツィレ 荷車一杯の木を運ぶ2人の女、シャルロッテンブルクを背景に 1898年

彼は元々風刺画家だそうですが、その資料のためなのでしょうか、写真も多く残しているそうです。その写真ものすごく独特でした。ジョン・トムソンの作品とは真逆、人々はほとんど正面を向いていないんですよね。働く女性がほぼ後ろ姿で写っている。
その労働は随分重労働で、観ていても辛さが伝わってくるものも。そのような重労働の様子が風刺画の素材となったのでしょうね。まさに「社会改良」のための写真だなと感じました。ブレていて弱者の影ある背中は切ないけれど、その情景をツィレは決して見せ物のような撮り方をしていない。ありのままの本当にスナップとして彼女達を観るまなざしが、彼の人間性も垣間見るようで貴重な写真だなと思いました。






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アウグスト・ザンダー 若い農夫たち c.1914年

7人のうち唯一しっかりとした肖像写真を撮っていたのがアウグスト・ザンダー。一見普通の写真にも見えますが、写っている人はみんなどこかくせありそうな人々ばかり。個性強そうなのに、写真のタイトルがやけに客観的で大雑把に付けられており、そのギャップが面白いなと感じました。ポーズも直立不動のものが多いのですが、表情はとてもやわらかかったり、彼と写っている人たちの関係はどうだったのかを知りたくなりました。
でも、この写真結構ネガがナチスに押収されちゃったそうですね。時代に翻弄されながらも記録としてちゃんと残ってくれたこの写真たちは貴重ですね。



今回初めて拝見した作家も多かったのですが、それぞれの個性、それぞれのメッセージが面白くて、会場を2周してしまいました。
ずっと観ていたかったけれど、きりがないなと思うくらい昔の人々の生活の様子に強く惹かれました。たくましいですね、みなさん。もう現存している建物も少ないだろうし、写っている人もほとんどお亡くなりになっているでしょう。その儚さも噛み締めつつ、当時のヨーロッパのありのままの姿を体感できたのは貴重な経験になりました。



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金曜日の夕方仕事の合間に行ったので、さほど混んではいませんでした。
写真に相当興味ある人が来ていた印象。
確かに玄人向けの展覧会だったかなと思いました。

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ストリート・ライフ ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち
会 期: 2011年12月10日 (土) ~ 2012年1月29日 (日)
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
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