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メグロアドレス―都会に生きる作家-/目黒区立美術館

目黒区美術館で開催中のメグロアドレス―都会に生きる作家-
へ行ってきました。

120207a.jpg


公式HPは→こちら

この展覧会は、目黒区に所縁のあるアーティストに焦点をあてた企画グループ展です、この企画展は2回目の試みだそうですが、絵画、映像、彫刻、写真、そして建築と多岐に渡る作家と作品を拝見することができました。
目黒といえば、お洒落でデザイン事務所や家具屋なども多い文化発信地のような印象があります。今回の作品もファッション誌から抜け出たような雰囲気のものも。
やはり特長は出るんですね。



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では写真を撮ってきたので掲載しつつ、感想を。



青山悟+平石博一(インスタレーション)

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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:青山悟+平石博一
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



青山さんといえば、銀色の糸を使った刺繍の作品をつくられますが、今回はその刺繍作業の映像を展示していました。音楽は平石博一さんで、今回お二人のユニット作品だそう。

暗い室内の中に大きなビジョンが。そこからミシンで作業している姿がずっと写し出されています。青山さんは一貫して「労働」をテーマとして作品を作られてきたそうですが、今回この映像に流れているのは針仕事。さらに、音楽のタイトルが「死の歌」で、これは19世紀にウィリアム・モリスが知人の死についての詩を書いたものに作曲家マルコム・レオナルド・ローソンが曲を付けたものを平石さんが下敷きにし、新たな「死の歌」として作曲した曲だそうです。
刺繍は古くからの労働として行われてきたもの。この作品を通して、ずっと作り続けることの意義、そしてモリスが提唱した労働の意味を問い直しながら青山さんは刺繍に向かい合っているのだなということがよくわかりました。
「死の歌」がとても象徴的な意味をもたらしているので、難しいテーマではあるけれど、作品自体は銀の色をモノクロで表現した映像はとてもきれいで静かな印象を持っているので観ていて引き込まれます。


120207m.jpg
CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:青山悟+平石博一
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。


「死の歌」の楽譜を刺繍した作品。映像の中で作業していたものの完成品でしょうか。


120207l.jpg
CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:青山悟+平石博一
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。


この作品はとあるしかけが施されています。会場で体験してみると面白いです。







今井智己(写真)


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:今井智己
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



今井さんは、最近では福島第一原発を取材した写真も発表されていますが、今回は「盲目」をテーマとし、[写真が必要とされない地点から写真を考えはじめる]という視覚的な記憶を撮っている作品です。
何の変哲もない普通の風景。私たちには本当に見慣れているものですが、視覚に障害をお持ちの方は、この何でもない風景が記憶となり古い情報となってしまう。今井さんがその記憶の代わりに撮って更新していくという発想で撮られているのだそう。
今井さんは「ガイドヘルパー」の資格をお持ちだそうで、写真も視覚に障害をお持ちの方のメンタルマップになるということを知り撮っているそうです。


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:今井智己
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



今回の展示では、建物と雑木林が呼応しているかのような配置になっており、道順なのか、記憶の断片なのかを見ているこちらも探るような構成でとても興味深かったです。
光がとても印象的な眩しい写真も。私も公園などで光を受けた緑を見るのが大好きですが、視覚に障害をお持ちの方には光を感じることができませんよね。
今井さんはその緑を好奇心で撮っているのとはちょっと違うように感じます。日常のディティールを伝える、残すという方に注力を注いでいるようにも感じましたし、その写真の向こうに感情を見出せないような感じもするのです。
面白いものを見せるにぎやかしではない、静かでしっかりとした強さを写真から感じ取れました。






須藤由希子(絵画)


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:須藤由希子
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



須藤さんの作品は鉛筆で描かれたモノトーンの風景が特徴的で、ちょっと花だけ彩色が施されている、ノスタルジックな印象の作品を作られる作家さん。
今回の展覧会ではたくさんの風景画を展示されていましたが、モチーフはとある住宅地のもう取り壊される寸前の邸宅の記憶を残すという依頼されて描いた作品だそうです。

ちょっと全体的に視線が高いように感じますが、そのことによってふわっと宙に浮いた浮遊感を感じさせます。家主の思い出や記憶を表したかったので、何度も何度も現地へ伺ってお話を聞きながら写真を撮りながら制作の素材を集めたそう。
木一本一本も忠実に描くため、ご自身の身長と照らし合わせて測ってみたりなどもしたそうです。家が無くなってしまったあとは、記憶はどんどんあやふやで不確かなものになっていくものだと思いますが、忠実に描くことをしつつも、須藤さんは「不確かでふわふわとした思い出」を描いているように感じました。


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:須藤由希子
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。




鉛筆の持つ幅広いモノトーンの色調も、花だけやさしいピンク色で描かれている表情も、何とも言えない懐かしさと儚い印象を持たせていて、ただの風景ではない、須藤さんならではのフィルターを持った景色だなと感じました。






長坂常(建築)


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:長坂常
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



展示室へと行く階段部分に一階から吹き抜けになっている場所があります。そこには大きな窓があり、外の景色が見られるのですが、その向こうに白い葉っぱのようなものが。覗き込むと、窓の向こうの景色には歩いている人も見えます。窓の一階部分には美術館内の備品や本が置かれていて、職員さんの備品置きのような場所になっています。
何でもないただの風景なんだけれども、窓の外の白い葉を展示室から、一階の備品置き場から、外を歩いている人も見られるようになっているのでなんとなく視線が集まって来るような場所にしつらえてしまったのです。
設計される方は導線を考えたりするのでしょうけれど、今回の長坂さんの作品は視線を集めることを考えている。そして自然と3人の関係を結びつけてくれるような、人を集めてくれるちいさな仕掛けを考えられている。ほんのちょっとした工夫なのに、そこに人が集まることがとても面白い現象ですよね。
会場内で鑑賞している時、何度も何度も覗き込んでしまいました。何となく見てしまうんですよね。誰か下にいるかななんて思いながら。


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:長坂常
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。


長坂さんはテーブルの作品も出展されています。
NADiff a/p/a/r/tのインテリアも手がけられていますが、木やコンクリートを樹脂で覆う素材作りをされていますよね。今回のテーブルも木の質感と樹脂のてかてかした光が面白いテクスチャとなっていて興味深かったです。





南川史門(油彩)


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:南川史門
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



南川さんの作品は、ファッション性とても感じますね。おしゃれです。南川さんは、普段いろいろなものを見たり出会ったりしてインスピレーションを受けたものを作品に反映させているそうですが、さすが「都会の人」だなと思いました。洗練されているし、べたべたとした人間くささを感じさせないのです。都会が持つもう一つの側面である猥雑さはほとんど汲み取らず、絵としての構成もとてもシンプルです。

今回とても大きな壁面をつかってたくさん絵画を構成していましたが、色合いといい、シンプルさといい大きさのわりには全く威圧感を感じない。むしろ清々しさを感じるのです。
でも細部を見ると結構たくさんのタッチで描いています。ただフラットに絵の具を乗せているのではなく、画面それぞれに表情を出しています。
金だったり、銀だったり、蛍光ピンクだったり、一見扱いにくい色を選択しているにも関わらず、色合いをうまく調和させ馴染ませ、どぎつく感じさせない。 デザイン構成のセンスも感じるのです。


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:南川史門
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



白いホワイトキューブの壁を一気に南川センスに変えてしまう魔法をみせてもらえたように感じました。






保井智貴(彫刻)


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:保井智貴
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



この彫刻、漆でできているのだそうです。漆をかためて形作っているのだそう。
この彫刻の素材は他にも、麻布、岩絵の具、膠、黒曜石などだそうで、純和風素材。これぞ古くから伝わる伝統工芸素材なのですが、作品の印象はまったくそのように感じません。だってこの作品も本当におしゃれなんですよね。「装苑」の誌面から出てきたかのような印象を持っています。
で、このような直立不動の彫刻にありがちな「怖さ」もない。人形が苦手で[GROOVISIONS]のマネキンですら怖いなと思ってしまう私でも全然恐怖感を感じないどころか、部屋に置きたいなと思ったくらいの作品です。
漆でできているので、だんだんと色合いも変化し、縮んでいくのだそうです。その長い時間をかけた自然な変化を楽しんでいけるのも作品の特長なのですね。


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CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png
作家:保井智貴
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」
ライセンスでライセンスされています。



彫刻は素材との向き合い方、スタンスが出るものだと思いますが、この作品を通じて漆という素材をいかに新しい表現物にしていくかを真摯に考えているのだろうなと思いました。

聞くところによると、貝蒔絵の技法も独学で学んだそう。保井さんのような作品こそ、日本が誇れる現代の文化だと思いました、作品を拝見して。海外へどんどん作品を発表していただきたいなと思いました。



目黒区は美術館事業の費用を大幅にカットすると決定した後の展覧会ということもあり、複雑な気持ちで作品を拝見させていただきました。
横浜のアートサポーターをしている身としては、どんどん縮小されていく自治体のアート事業の姿を見るのは寂しいです。
でも作品は相当なパワーを持ったものばかりで、展示数は少ないものの、神奈川県にいる私から見ると「都心ならでは、現代文化の発信地ならでは。」を垣間見ることができうらやましいなと思いました。
住宅地ではあるとは思いますが、あざみ野から比べれば「ど」が付くほどの都心ですよ、やっぱり。
感度の高い人たちがたくさん集まってくるような場所です、目黒は。なので、今後もどんどんならではを発信していって欲しいなと思いました。

作品それぞれにインスピレーションを受けました。
ありがたい機会だったなと思います。



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メグロアドレス―都会に生きる作家
目黒区立美術館
会期:2011年2月7日(木)~4月1日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日
交通:JR山手線、東急目黒線、東京メトロ、都営三田線「目黒」駅より徒歩10分
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