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抽象と形態:何処までも顕れないもの/DIC川村記念美術館

DIC川村記念美術館で開催中の抽象と形態:何処までも顕れないものへ行ってきました。

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今回は、川村記念美術館の20世紀作家所蔵作品と、現代の抽象画を中心に描いている作家のグループ展で、サブテーマにもある「対象の本質を如何に顕わすのか」というテーマを追う内容です。

公式HPは→こちら


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では作品の感想を。

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五木田智央 《Scorn》 2011年
アクリル・グワッシュ、カンヴァス 227.3×181.8cm 作家蔵


この展覧会の一番の目玉作品として《Scorn》があると思いますが、会場入ってすぐのところにどーんと大きく展示されているので、インパクトは相当ありますよね。
言われてみると確かにグリザイユ手法ですが、私が見たときは意識してませんでした。モノクロでもこの存在感、そして表現力を相当持っていますよ。
何かを描いているような、具象のイメージがあるのですが、でも何を描いているのか分からないところがより観ている側にいろいろなことを考えさせてくれる隙を与えてくれているように感じるのです。
五木田さんのトークを聞いたのですが、《Scorn》は、一旦顔をすべて描ききったそう。その上であのように顔に加筆したそうです。さらに、人の胸像の下には最初もっと抽象画を描いていたのだそうですが、だんだん描き進めていったときに胸像となってしまったのだそう。モノクロへのこだわりはさほどないそうですよ。私はすごくこだわってのことだと思っていたのですが、3年前には青い色彩の作品も描いていたりと、色への強い執着心はないと言っていました。




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角田 純 《Maïna》 2005年
アクリル、木製パネル 100×73cm 作家蔵


五木田さんのモノクロのインパクトとは打って変わって、色彩の遊びや感覚がすごく心地よいなと感じた作品でした。元々グラフィックでディレクターされていたということで、色彩感覚は抜群にいいですし、何よりお洒落に感じます。
自然と平面構成をしているような構図で、さすがデザイン畑の方だなと感じました。淡い色彩に、ラッカーで描かれた銀などの強い色が入ってきても、バランスが崩れていないんですよね。さらに、画材を多用されていて、遊び心も感じますし、抽象画なのにこちら側が感覚ですっと観られる作品だなと。《divine window》シリーズは4年前くらいから描いているそうですが、緑の色彩の上に点がぽつぽつと、遠くから観ると静かな淡い印象を持つのですが、近寄ってみると筆跡が案外荒々しい。まるで春の嵐の光景のような、清々しいけれど強さも感じるような作品だなと思いました。結構気に入った作品でしたね。
角田さんのトークも聞いたところ、いつも作品を床において描いているそうです。今回の展示も、五木田さんやエドストロームさんの作品配置のバランスを考慮した結果、ご自身の作品を床置きにされたのだそうです。





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アンダース・エドストローム 《無題》
2011年 作家蔵


エドストロームさんの作品は、今回の展覧会唯一の写真ですが、海の風景でも、随分水面が近くに感じる構図で、凪を撮っているのですが、ちょっとノイズがかった撮り方で荒々しくも感じてしまいます。
水面がちょうど画面の半分のところになるような構図になっているので、余計海のど真ん中に立っているような感覚になりますね。船から撮っているのでしょうか。水面がまるで模様のようにも見えて、海とは違うもののようにも見えてくるのです。




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フランシス真悟 《深淵(紫)》 2011年
油彩、カンヴァス 153×132cm 作家蔵


フランシス真悟さんの作品は今回初めて拝見したのですが、とても面白いグラデーションが特徴的な作品ですね。今回お父さんの作品と一緒に展示されていたのですが、お父さんの作品よりもかなり繊細で、使用している絵の具もパールやテクスチャ感出るガッシュを薄く薄く溶いて使用しているので、とても表情のある観ていて飽きのこない作品だなと思いました。もの言わないけれど、噛めば噛むほど味があるとでもいいますか。ゆっくりと眺めていたくなるような、静かな作品が多いですよね。《Bound For Eternity (space)》は、繊細さと迫力を併せ持つような作品で、グラデーションがとてもきれい。パールアクリルガッシュで描かれた一本の線がタイトルのように永遠に続いていきそうな光の光線を見ているような、強くてでも実体のないもののような美しさを感じました。
パールのアクリルガッシュは、私が学生の頃なかった画材なので、ちょっと買って使ってみたくなりました。





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サム・フランシス 《無題》 1952年
油彩、カンヴァス 194.5×129.7cm

DIC川村記念美術館 ©2011 Sam Francis Foundation, California / ARS, N.T./ SPDA, Tokyo

こちらがお父さんの作品。今回初一緒に掲載なのだそう。お父さんの方が力強いですよね。パッションを感じます。






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野沢二郎 《After Rain /記憶》 2008年
油彩、カンヴァス 117×81cm 個人蔵


今回の展覧会の中でも一番興味深いと思ったのが野沢さんの作品でした。スキージーを使用して、たっぷりと置いた油絵具を一気に画面に塗るような技法をされているのですが、今回の展示作品の中で一番抽象を貫いているような全く何も具体的に形を作り出していない描き方なのですが、何故か作品に囲まれると自然の中、湖や森の中に紛れ込んでいるような感覚になるのです。
隣りにはモネの《睡蓮》が展示されていたのですが、まさにこの取り合わせは妙で、とても相俟っていましたね。野沢さんの作品も、何かを見下ろしているような構図にも感じますし、何かを投影反射させているようにも感じる。でも、そのものは何かを具体的には詮索できない「印象」のみを私たちに与えてくれるのです。
茶色の上に、紫や水色など結構鮮やかな色合いを乗せてコントラストがあるのですが、その色の組み合わせが見ていて全然辛く感じない、むしろとても調和しているのです。一見派手な色の組み合わせでも、キッチュになっていないところが不思議だなと感じました。パレットの上の絵の具をそのままキャンバスに表現しているそうですね。





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赤塚祐二 《赤い絵》 2010年
油彩、カンヴァス 227×180cm 作家蔵


野沢さんの作品を見終わったあとだったせいもあって、随分パッションを感じる作品だなと思いました。土臭いといいますか、独特なテクスチャ感も感じますし、力強さとパワーを感じるのです。まさに「男らしい」絵だなと思いました。
深い闇を描いているような1992年の《Canary 29211》と、近作《Red Painting 赤い絵》は方向性が随分違っていて、見比べるのも面白いなと感じましたが、近作の方は熱い印象でも、幾何を用いているんですよね。
かっちりとした風景画ではあるのだけれど、見ていて癒される景色ではない、むしろ近寄りがたい驚異的にも感じる場面が写し出されています。赤塚さんの作品はみなキャンバスが厚めだったのですが、意図しての厚みだったのでしょうか。せり出してくるような印象をも持ちました。理由を聞いてみたかったですね。





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吉川民仁  《対話》 2010年
油彩、カンヴァス 227.4×162cm 作家蔵


今回の展覧会の中で一番テクスチャ感、質感の面白さを感じた作品が吉川さんのものでした。描き方が、作品一つ一つみな違っていて、使われる絵の具の色も実に様々。これが一人の作家の作品なのかなと思うくらい多種多様な作品でしたね。
《風走》は、かなり大きなキャンバスに黄色地にほとばしる黒のしぶきのような筆跡がとてもインパクトを持っていましたね。黄色と黒は人の感覚では注意喚起の色合いですが、まさにその色のコントラストの持つ強さを存分に発揮している作品だなと感じました。
一方、《声音(春)》は一面薄いピンク色を重ねた表現で、女性が描いているのではと思ってしまったくらい、繊細なグラデーションが印象的でした。
吉川さんは、もしかしたら画材の可能性をすごく研究されている方なのかもしれませんね。画材の持つ力をどんどん試していきたいと思っているのかもしれないなと思いました。
私も画材おたくなので、ちょっと気持ち分かります。そういう乗っかり方は良くないでしょうかね。笑


今回の展覧会は、それぞれ抽象画というのはとても様々な表現があるのだなと思いました。手法も画材も今回出展されている作品はすべて違うので、世界観の違いをたくさん感じることができました。


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展覧会はゆっくりと観られましたが、私が行ったときは、五木田さん角田さんエドストロームさんのトークがあったため、その際は結構混雑していました。


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抽象と形態:何処までも顕れないもの
DIC川村記念美術館
会期:2012年1月14日(土)―4月15日(日)
開館時間:午前9時30分-午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
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