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靉嘔 ふたたび虹のかなたに/東京都現代美術館

東京都現代美術館で開催中の靉嘔 ふたたび虹のかなたにへ
行ってきました。

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靉嘔といえば、レインボーカラー。虹色で絵を描く人といえば靉嘔。というくらい、虹色の作品しかほとんど知らなかったのが現状でして、高校の教科書にも虹色の絵が載っていただけでしたし、都現美で何回も観たことある作品はやはり虹色の作品。その印象しかなかったので、正直彼が何で評価されているのか分からなかったんですよね。本当に失礼だと思いますが…。
冷たい印象で、レインボーなんて色の工夫されてない絵の具の基本色並べてるだけのような気がしていました。

公式HPは→こちらから


この展覧会を拝見すると、多種多様な画材、技法、テーマの作品を作られていることがよくわかり、しかも作品数が半端なく多かった。それだけ多作だった靉嘔の探究心と作品を作ることへの情熱をとても感じ取ることができました。



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では、作品の感想を。

今回大学の卒制作品も展示されていましたが、初期の作品は今まで彼に持っていたイメージとは全然違うもので、手仕事の温もりやものをどう捉えるか模索する姿をすごく感じることができました。
特に《悲劇よりもより悲痛なる静寂》シリーズは、イラストのようにも感じましたし、今でもこのようなイラストを描くのを志す人はいるのではと思うくらい斬新な作品でした。味のある作風ですよね。
後期の作品よりも、線や色合いがとても面白い。表現が生き生きとしていて私は気に入ってしまいました。
そのシリーズの最大サイズ、紙に水彩で描かれた作品は最後の審判のようにもみえますし、快楽の園のようなシーンにも見えます。無数の男と女がいて、衝動や情熱を感じる作品だなと思いました。これだけ強い印象の作品でも、画材が水彩だということも驚きましたが、なかなか衝撃的な作品で、“冷たい”イメージの方が強い靉嘔ですが、初期のこのような作品が礎であってこそなのかなと思いました。

《中間子炉》《鉄骨》という作品は、CTスキャンのように人体を輪切りにしていて、後のレインボーの作品たちの一片を垣間見ることができましたが、人体への執着心といいますか、関心の強さを感じることができました。後々に出てくる作品も、人間の生理に関するテーマのものが多かったのと、穴や管へのこだわりを感じるものが多いですよね。


アメリカに渡ったあとの作品水彩画の《慧星》は今まで独創性とビビッドな色彩を描いてきた作家が描いたものとはちょっと思えないくらい、いきなり繊細なか弱い作品のように感じてしまったんですよね。心機一転ということだったのかもしれませんが、確かに靉嘔らしさがなかったように感じます。このような作品も展示されていたことがとても貴重だなと思いました。


靉嘔の作品といえばのレインボー作品もこの展覧会では一同に展示されていますが、まずびっくりしたのはレインボー作品でも多様な技法でつくられていたこと。シルクスクリーン一辺倒かと思っていた自分が情けなくなりましたよ、本当に申し訳ない。試行錯誤が見て取れました。


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《アダムとイヴ》 1967-71年 東京都現代美術館蔵



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《レインボー・レイン》 1977年

このような淡い作品も作られているんですよね。虹の雨。アクリルの透明性がうまく生かされた作品だなと感じました。あとは、樹脂とアクリルで作られた《ストローク・ラヴE》はまるでキャンバスをデコレーションしているようで、女子にうけそうな作風だなと思ってしまいましたね。かわいい作品だと思いました。アームレーダーの作品みたいな、ポップでキッチュな印象ですね。

もちろん虹で表現するということがただの一技法ということではなく、線や構図からの脱却といいますか、光のスペクトラムを用いることによってイリュージョンやアブストラクトへの抵抗を顕わしているのだそう。一面を虹にすることで、空間すべてをその色で染めるという空間性「環境」を考慮した表現だったんですね。
今回の展示では《レインボー・エンヴァイラメントNo.1 レインボー・ラウンドスケープC & 男女の人型》の作品が一番表しているものでしたよね。あの虹の人型(旅行先でよくある首出すハリボテ)にしっかり首出してきました。写真撮らなかったですが。。その虹の中に自分の身を置くことで、環境「エンヴァイラメント」の表現を体現することができました。

レインボーシリーズの中でも、ルソーなどの素朴派の作品を模したものや、オリンピック競技がテーマの作品、さらに穴や管への言及なのかと思わせるような下ネタがテーマの作品など、相当多種多様なテーマで作品作られていますが、根底には人間の生理的欲求や人体への関心が作品に込められたりしているのかなと思いました。


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《マイ・いっくに・フレンズ》 2011年

近作や新作も展示されていましたが、中国の漢詩をテーマにしたもの、オノマトペをテーマにしたものなどがありましたが、虹の色合いを最大192色まで表現した作品なのだそうです。そこまで虹の色を分解するなんてすごいですね。確かに、一瞬虹の色だと判別付かないくらい多様性のある色だなと思いました。
上記の作品、《マイ・いっくに・フレンズ》はリズム感を感じる作品ですね。


シルクスクリーンの作品は、おそらく一番靉嘔といえば見たことあるといいますか、馴染みのある作品なのかなと思いますが、シルクスクリーンの中でも《線のアンソロジーⅠ》シリーズは線のフォルムが面白く、印刷の色であるC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の色を使用して、ずらして刷っていることも版を使った作品ならではの印象を持たせていて、面白いなと感じました。シンプルなのですが、線にとても味わいがありますよね。学生の頃初期の油絵の画風とリンクしているようにも感じました。


120317c.jpg
《レインボー・エンヴァイラメントNo.7
レインボー・タクティル・ルーム+レインボー・エイムズ・ボックス
》 1969年

今回の展覧会は、2つほど体験型の展示もあったので良かったなと思いましたね。フルクサスの作品は体験型のものも多いので、再現されてないかなと期待はしていたので。《ブラック・ホール》はジョージ・マチューナスに捧げた作品なのだそうですが、本気の闇の中を彷徨うインスタレーションで、まさに暗中模索。あまりにも暗さが本気だったので、閉所恐怖症の方はちょっと避けた方がいいかもしれませんね。暗い場所も平気な自分でも、だいぶ不安になりました。とにかく暗いくらい闇を体験することによって生まれる手探りで探す意義を体験することができましたし、今まで彼が行ってきた虹で環境をつくりあげる手法の真反対の意味を持つような作品だなと思いました。
《レインボー・エンヴァイラメントNo.7 レインボー・タクティル・ルーム+レインボー・エイムズ・ボックス》 も同じように、見えないものを探る動作で、人を不安にさせる作品ですね。穴に指を入れるというなんとも意味深で卑猥な、そして不安な行為はないですもんね。


今回の展覧会、あまりにも作品数が多くて体験型も多かったので、かなり疲れてしまいました。
常設展示のベンチで寝てしまったくらい。。(すみません)
それだけ靉嘔にはパワーがあり、パッションがあるということをこれでもかと見せ付けられた気がします。技法や色彩への異様なくらいのこだわりは、とても頭が下がります。ありとあらゆることを試したい、画材大好きなのでは?と思えてしまうほど技法への関心がとても強かったのかなと。新しい技法をどんどん取り入れることによって、ちょっと卑猥なテーマでも、人体への深い探求でも、表現としてしっかりと成立させていったのかなと思いました。


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体験型インスタレーション2点並ばず体験することができました。


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会 場:東京都現代美術館 1F,B2F
会 期:2012年2月4日(土) ~ 5月6日(日)
休館日:月曜日 (4月30日は開館)、5月1日
開館時間:10:00 ~ 18:00(入場は閉館の30分前まで)
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